2024年7-9月期の最新決算を基にした高配当株は、配当重視の投資家にとって魅力的な投資先として注目されています。この記事では、直近の決算で評価が高まった5銘柄をランキング形式で紹介し、それぞれの魅力とリスクを詳しく解説します。
市場全体の動向:決算期における明暗と方向感の乏しさ
決算発表集中で個別銘柄の明暗
2024年10月から11月にかけて、7-9月期決算が集中し、個別銘柄で明暗が分かれる結果となりました。決算が市場予想を上回りポジティブサプライズとなった銘柄では、株価が大きく上昇する場面が見られました。一方で、業績が市場予想を下回ったエムスリーや東京製鉄といった銘柄は、株価が急落するなど、銘柄ごとのパフォーマンス差が鮮明となりました。
こうした動きの背景には、半導体関連の不透明感や消費動向の鈍化などが影響しています。特に、米中貿易摩擦の影響を受ける半導体関連銘柄では、業績懸念が一層強まる結果となりました。
日経平均は方向感に乏しい動き
市場全体では、日経平均株価が3万8,000円から4万円のレンジで推移し、方向感に乏しい動きが続いています。10月下旬には調整局面が見られたものの、その後の押し目買いで下げ止まり、11月には4万円近くまで回復しました。しかし、戻り売り圧力も強く、大幅な上昇には至っていません。
これには、国内外の不透明要因が影響しています。国内では、日銀の金融政策や衆議院選挙の結果が投資家心理に影響を与えたほか、海外ではトランプ新政権の政策や米中関係が市場に不安定要素をもたらしました。
高配当株とは?注目される理由と投資の基本
高配当株の特徴と利回りの重要性
高配当株は、配当利回りの高さが特徴であり、安定したインカムゲインを狙う投資家にとって重要な選択肢となります。経済が不安定な時期には、高配当株の収益安定性が一層注目されます。これらの銘柄は、通常、事業基盤が強固であり、業績の波を受けにくい点が魅力です。利回りが4%を超える銘柄は、長期的な資産形成を目指す投資家に支持されています。
市場環境が高配当株に与える影響
金利環境は高配当株に大きな影響を及ぼします。金利が低い場合、債券などの安全資産に比べて高配当株の利回りが相対的に魅力的となります。一方、金利上昇局面では、債券利回りが上昇し、高配当株の相対的な魅力が低下する可能性があります。しかし、高配当株はインカムゲインを重視する投資家にとって、依然として魅力的な選択肢であり続けます。
トランプ新政権と日銀金融政策の影響
トランプ新政権の政策が与える影響
2024年の米大統領選挙でトランプ氏が再選を果たし、新政権が誕生しました。同政権が掲げる「アメリカ第一主義」は、米国株にとって追い風となる一方で、日本を含む他国の市場に波及する影響も注目されています。半導体規制や関税政策が日本の輸出企業に与える影響は無視できません。一部のアナリストは、半導体関連株の低迷が日本株全体の重しとなる可能性を指摘しています。
また、トランプ政権の政策により、ドル高・円安が進行する可能性があります。円安は輸出企業にとってプラス要因ですが、為替変動が急激に進む場合、株式市場に不安定要素をもたらすことも懸念されます。
他にも、トランプ氏の自国優先主義から考えて、防衛力拡充の必要性が高まるとみられます。
防衛・地方創生関連の注目銘柄について関する詳しい情報は、以下の記事も参考にしてください。
配当利回りランキング!防衛・地方創生関連の注目銘柄
日銀の金融政策の行方
日銀は、11月の政策決定会合で引き続き利上げのタイミングを模索しています。植田総裁は、金融緩和の度合いを調整する可能性に言及しており、これが市場のボラティリティを高める要因となっています。また、12月には追加利上げの可能性も議論されており、市場参加者は政策動向を注視しています。日銀の利上げは、国内銀行株など一部セクターには追い風となる一方で、借入コストの増加が一部企業に悪影響を及ぼす可能性があります。
厳選・高配当銘柄ランキング
1. エフ・シー・シー(7296)
配当利回り:6.63%
特徴:クラッチ専業の自動車部品メーカーで、海外売上比率が90%以上と高いことが特徴です。2025年3月期上半期の営業利益は前年同期比55.3%増の100億円で、特にインドやインドネシアでの販売が業績を押し上げました。記念配当を含む年間配当金を202円に引き上げたほか、発行済株式数の2.5%を上限とする自社株買いを発表し、株価が20.6%急伸しました。
2. 日本触媒(4114)
配当利回り:5.82%
特徴:高吸水性樹脂の世界トップシェアを誇り、医薬品や電池関連素材など新規事業にも注力。2025年3月期上半期の営業利益は前年同期比4.5%増の104億円となり、配当金も108円に増額。円安や原材料費の改善が収益を後押ししています。株価は決算発表後に11.6%上昇しました。
3. LIXIL(5938)
配当利回り:5.17%
特徴:住宅設備機器メーカーとして、リフォーム需要が業績を支えています。2025年3月期上半期の事業利益は前年同期比18.9%増で、国内外のウォーターテクノロジー事業が成長を牽引。株価は11.7%上昇し、PBR(株価純資産倍率)が0.8倍と割安な点も再評価されています。
4. 日本M&AセンターHD(2127)
配当利回り:4.39%
特徴:M&A支援を手掛ける国内トップ企業で、過去最高水準の案件数を記録。2025年3月期上半期の営業利益は従来計画を大きく上回る59億円。株価は決算発表後に12.4%上昇しました。業績上振れによる増配期待もあり、成長性と安定性を兼ね備えた銘柄です。
5. FPG(7148)
配当利回り:4.31%
特徴:オペレーティングリース事業を中心に、国内外の不動産ファンド事業でも成果を上げています。2024年9月期の営業利益は前期比56.8%増の286億円を記録し、配当金も大幅増額。株価は12%上昇し、安定収益と高い株主還元が投資家から評価されています。
コード | 銘柄名 | 11月15日 終値(円) |
配当利回り(%) | 時価総額 (億円) |
今期営業 増益率(%) |
騰落率(%) |
7296 | エフ・シー・シー | 3,045 | 6.63 | 1,585 | 5.9 | 30.24 |
4114 | 日本触媒 | 1,855 | 5.82 | 2,893 | 20.8 | 9.31 |
5938 | LIXIL | 1,740 | 5.17 | 5,001 | 52.9 | 9.36 |
2127 | 日本M&AセンターHD | 660 | 4.39 | 2,225 | 5.8 | 13.43 |
7148 | FPG | 3,025 | 4.31 | 2,583 | 10.7 | 34.15 |
※騰落率は、10月25日終値比
高配当株投資のリスクと対策
高配当株は安定したインカムゲインを得られる一方で、特有のリスクも伴います。ここでは、具体的なリスクとその対策について解説します。
減配リスク:企業業績悪化による配当の減少
高配当株の最大の魅力は配当利回りですが、業績が悪化すると減配に繋がる可能性があります。企業の収益力が低下した場合、配当を支払う余裕がなくなることも考えられます。また、配当性向(利益に占める配当の割合)が過剰な水準に達している企業は、将来的な配当維持が困難になる可能性があります。
対策
配当性向の確認:配当性向が50%以下であるなど、無理のない配当水準を維持している企業を選びましょう。
収益安定性の確認:複数年にわたり安定した収益を上げている企業や、キャッシュフローが堅調な企業を検討することが重要です。
セクター分散:業績が景気に左右されにくいセクター(公益事業や食品など)を含めることで、減配リスクを軽減できます。
株価下落リスク:高配当利回り銘柄特有のボラティリティ
高配当株は、配当が高い分、株価の変動にも影響を受けやすい側面があります。利回りの高い銘柄は「配当利回りが魅力的」という理由で人気が集中し、過熱感が生じる場合があります。さらに、配当権利落ち後に株価が下落するリスクもあります。
対策
権利落ち後の価格動向を確認:過去の配当権利落ち後の株価動向を分析し、急激な値動きが見られる銘柄を避ける。
割安株を選ぶ:PBR(株価純資産倍率)やPER(株価収益率)が低い、いわゆるバリュー株に注目することで、割高リスクを抑えます。
タイミング分散:一度に大きな額を投資するのではなく、タイミングを分けて購入することでリスクを低減します。
長期的なリスク管理:企業環境の変化への対応
企業の経営環境や業界の構造が変化すると、高配当を維持していた企業が突然競争力を失う場合もあります。また、法規制の変更が企業収益に影響を与えるリスクも見逃せません。
対策
定期的なポートフォリオの見直し:定期的に銘柄の業績や市場環境をチェックし、リスクの高い銘柄を入れ替える。
業界トレンドの把握:特に規制の影響を受けやすい業界(エネルギー、金融など)については、政策や規制の動向を継続的にモニタリングすることが重要です。
高配当株投資のリスク分散としてヘッジファンドを活用
リスク分散の手段として、高配当株だけでなく、ヘッジファンドの活用も効果的です。ヘッジファンドは、市場の変動に左右されにくい運用手法を用いるため、株式市場が不安定なときにも安定したリターンを期待できます。
ヘッジファンドに関する詳しい情報は、以下の記事を参考にしてください。
【最新版】管理人おすすめ 国内ヘッジファンドランキング BEST3
高配当株とヘッジファンドを組み合わせた分散投資戦略を活用することで、資産全体のリスクを軽減しながら安定的なリターンを目指しましょう。
まとめ
2024年7-9月期決算を受けて、高配当株が再び注目を集めています。業績が好調で株主還元を強化する銘柄は、投資家にとって魅力的な選択肢となるでしょう。一方で、トランプ新政権の政策や日銀の金融政策の動向には注意が必要です。市場環境を注視しながら、分散投資を基本とした戦略的な投資を心掛けることが成功の鍵となるでしょう。