物価は上がるのにお給料はなかなか増えない…と、将来への不安を感じていませんか。
不安定な時代にお金を守るために本当に大切なのは、いつ実現するかわからない賃上げを待つことではなく、自ら資産を育てる投資を徹底ことです。
この記事では、なぜ投資が賃金上昇を待つよりも資産形成に有効なのかを、私たちの年金を運用するGPIFの実績といった客観的なデータを使って解説します。
賃金だけに頼らず、インフレから資産を守る具体的な方法を紹介します。
- 賃上げを待つだけでは資産が目減りしてしまう本当の理由
- 投資が賃金上昇よりも合理的といえる客観的なデータ
- 多くの日本人が投資をしてこなかった背景とその問題点
- 具体的な資産形成の方法
実感なき賃上げと、迫りくる物価高という現実
私たちの生活において、賃金上昇は期待されるものですが、その実感が少ない現状があります。
物価の上昇が追いつかず、実質的な手取りが減少してしまうという問題もあります。
預貯金だけでは守れない資産価値の下落
「預貯金だけでは資産価値を守りきれない」といわれる理由は、インフレによって物価が上がり、お金の価値が目減りするからです。
預金金利が低い日本では、たとえ口座にたくさん預金があっても、そのお金の実質的な価値が下がりやすくなっています。
- インフレ率が年間2%と仮定すると、100万円の預金の価値は毎年2万円ずつ減少する計算となります
- 日本銀行の統計データによると、個人金融資産の約55%が現金・預金として保持されています
- 米国と比べて、日本の家計の株式・投資信託保有率は著しく低い
結論として、インフレによる資産価値の下落を避けるためには、投資で資産を増やす努力が必要です。
国が示す「貯蓄から投資へ」という方針転換の背景
「貯蓄から投資へ」という国の方針転換の背景には、日本経済の成長を持続可能にする必要性があります。
少子高齢化が進む中、国内の消費だけに頼ることができず、投資によって経済の活性化を図る狙いです。
- 政府は投資を支援するため、新しいNISA制度を導入して投資の裾野を広げようとしています
- 日本銀行の調査では、日本全体で250兆円以上の預金が眠っているとされています
- 金融リテラシー向上施策を通じて、投資に対する意識改革を進める
日本の将来を見据え、個人が資産形成を投資にシフトすることは経済全体にとっても重要です。
日本人が投資を避けてきた理由とインフレ時代の落とし穴
日本人の多くが「現金」や「預貯金」を資産の大部分に使っている状況が、インフレ時代においてリスクとなっています。
賃金上昇を待つだけでは、このリスクから逃れられないため、他の金融資産への投資が求められています。
以下では日本人がこれまで投資を避けてきた理由と、その背後にあるインフレ時代における落とし穴について掘り下げます。
先進国で際立つ日本の低い株式・投資信託の保有率
日本の家計における株式・投資信託の保有率は、他の先進国に比べて非常に低い水準にあります。
OECD諸国の中で、日本は株式や投資信託の保有率が約15%程度に留まっており、アメリカの50%を大きく下回ります。
これは、長期的に見た場合に日本人が資産増加の大きなチャンスを逃していることを示しています。
- 日本の株式保有率: 約15%
- アメリカの株式保有率: 約50%
これだけの差がある背景には、日本人が「現金」を中心に資産を管理してきた歴史があります。
これにより、日本人は株式市場の成長から得られる利益を逃し、資産を増やす機会を逃しています。
長期デフレが生んだ「現金は安全」という過去の常識
日本の長期デフレは、「現金が一番安全」という誤った常識を生んできました。
デフレ時代には、物価が下がるため現金の価値が相対的に上がるという現象が起きました。
しかし、インフレ時代になると、この考え方が通用しなくなります。
インフレでは物価が上昇するため、現金の価値が実質的に目減りしてしまうのです。
長引くデフレの影響を受け、多くの日本人がリスクを避ける選択をし続けた結果、インフレ時代には逆に不利な立場に立っているのです。
この過去の常識から脱却し、投資という選択肢を考慮することが求められます。
資産効果で個人消費が伸びる米国との決定的な差
資産効果とは、資産の価値が増加することで、消費が促進される現象を指します。
アメリカでは、株価の上昇と共に資産効果が顕著に現れ、個人消費が拡大しています。
これに対して、日本は株式保有率が低いため、たとえ株価が上昇しても個人消費につながりにくいのが現状です。
- アメリカ: 株価上昇が消費拡大に貢献
- 日本: 株価の恩恵を受けにくい消費パターン
この違いが、日本経済の成長において大きな障害となり得ます。
個人消費の伸びがない日本では、経済活性化のチャンスを逃してしまい、さらに経済的な取り残され方を感じることになるのです。
インフレによる負担を上回る株価上昇という事実
インフレによる生活費の負担を株価上昇で吸収できることは、投資の利点の一つです。
実際に日本の株価も過去には、インフレによって増大する負担を株価上昇で打ち消すほどの上昇を見せています。
これを考慮すると、株式市場への投資は、インフレ時代を生きるための有効な防御策となります。
- 日経平均株価上昇: インフレによる負担超過
- インフレ防止のための資産運用が可能
このように、今後の日本人は投資へと目を向け、資産を増やすだけでなく、インフレに対する防御策としての役割を果たす手段を検討することが重要です。
実質賃金と資産収益率の歴史的データで見る「賃上げ待ちの限界」
ここまで見てきたように、インフレ時代において賃上げだけを頼りに資産を守るのは難しい現実があります。
では、実際に日本人の賃金と、資産から得られるリターンがどのように推移してきたのか、データで確認してみましょう。
【日本の実質賃金推移(1997年〜2023年)】
厚生労働省の「毎月勤労統計調査」によると、日本の実質賃金(物価変動を加味した賃金)は以下のように推移しています。
年度 | 実質賃金指数(1997年=100) |
---|---|
1997 | 100 |
2007 | 93.7 |
2017 | 89.5 |
2023 | 85.6 |
ご覧の通り、25年以上にわたり日本の実質賃金は減少傾向を続けています。物価上昇に賃金が追いついていないため、生活の実感として「豊かさ」が得られにくい状況が続いているのです。
【同期間の主な資産クラスの累積リターン】
一方、以下は1997年から2023年までに主要な資産クラスがどれだけ価値を増やしたかを示す累積リターンの目安です。
資産クラス | 累積リターン(1997年→2023年) |
---|---|
日経平均株価 | 約+70% |
TOPIX(東証株価指数) | 約+55% |
MSCIワールド指数(先進国株式) | 約+160% |
日本国債10年利回り(年率換算) | 約+1%(実質ほぼ横ばい) |
日本の実質賃金 | 約-15% |
データで見る「賃金より投資」が合理的である客観的な根拠
賃金よりも投資が合理的であるというデータがあります。
これは、長期的な視点で見ると、企業の利益が株主へ還元される割合が高く、賃金の上昇を上回るリターンを得る可能性が高いからです。
会社の利益は誰のものか-従業員と株主の構造的な違い
会社の利益の分配には、従業員と株主の間で異なる構造があります。
企業が利益を上げた場合、その利益は通常、株主への配当や自社株買いを通じて還元されます。
一方、従業員の賃金に反映されることは少ないです。
- 株主: 企業の発展に伴う配当や株価上昇の恩恵を受ける
- 従業員: 賃金の上昇は企業の採算に直結せず、配当より優先度が低い
結論として、企業の利益を享受するためには、株主の立場に立つことが重要です。
労働収入より資産収入の伸びが大きい「r>g」という経済原則
「r>g」の原則は、資本収益率が経済成長率を上回ることを意味します。
これは、経済が成長していても、資本から得られる利益の方が、労働から得られる収入の増加を上回ることを示しています。
経済指標 | 説明 |
---|---|
資本収益率(r) | 資産から得られる利益の割合 |
経済成長率(g) | 国全体の経済活動の成長率 |
この原則を知ることで、投資収益を重視する戦略が合理的であることが理解できます。
私たちの年金を運用するGPIFの圧倒的な運用実績
年金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の実績は圧倒的です。
GPIFは、私たちの年金を元に、国内外の株式や債券に投資しており、2001年度から2023年度末までに累計で135兆円以上の収益をあげています。
- 国内株式: 長期的な投資で高い収益率を達成
- 国外株式: グローバルな成長を捉え、高いリターンを確保
結論として、GPIFの成功は、長期・分散投資の有効性を証明しています。
名目賃金上昇率をはるかに上回るGPIFの年平均リターン
名目賃金上昇率と比較して、GPIFは優れた年平均リターンを記録しています。
GPIFの年率平均リターンは約3.97%であり、日本の名目賃金の上昇率よりも高いことが多いです。
- 年平均リターン: 約3.97%
- 名目賃金上昇率: より低い数字
長期的には賃金よりも投資による資産収入の方が有利であることが明らかです。
格差社会を生き抜くための、今すぐ始められる資産形成術
格差社会で生き残るためには、自らの資産を効果的に増やす手法を学ぶことが重要です。
特に注目すべきは、投資制度や戦略を学び活用することです。
具体的には、NISAと呼ばれる非課税制度や、リスクを抑えた「長期・分散・積立」という投資戦略が挙げられます。
以下で詳しく見ていきましょう。
非課税制度NISAの活用法
NISAは、個人の株式投資や投資信託への投資から得られる利益を非課税にする制度です。
この制度を使うことで、通常の課税口座では約20%かかる税金が免除され、投資で得た利益を最大限活用することができます。
非課税枠を利用し、全世界株式インデックスファンドに投資した場合、5年間での運用益に対する税金がかからず、その分資産を増やすことが可能です。
ただし、限度額や運用期間に注意が必要です。
投資におけるリスクを抑える「長期・分散・積立」の三原則
長期投資: 株式市場は短期間での価格変動が大きいですが、長期間では一般的に上昇傾向を示します。
数十年にわたる投資では、短期的な価格の上下に対するリスクが軽減されます。
分散投資: 複数の資産に分散して投資することで、特定の資産や市場が不調なときでも、全体のリスクを軽減することができます。
銘柄や地域、業種を分けて投資するのがポイントです。
さらに、分散投資の一環として「プロに運用を任せる」という選択肢も考えられます。
特に国内のヘッジファンドは、個人では難しい相場環境への柔軟な対応やリスク管理をプロの視点で行ってくれるため、資産運用の選択肢として注目されています。
以下のランキングでは、実績や評判の良い国内ヘッジファンドを比較できますので、興味がある方はぜひ参考にしてください。
【最新版】管理人おすすめ 国内ヘッジファンドランキング BEST3
積立投資: 毎月一定額を投資し続けることで、低価格時に多くの株を購入し、高価格時には少なくする「ドルコスト平均法」の効果を得られます。
これにより、価格変動を平準化し、長期的には資産の成長が期待できます。
資産を持つ側へ回るための具体的な第一歩
具体的にどう行動を始めればよいか悩んでいる方に向けて、まずは小さくスタートを切ることをおすすめします。
NISAやiDeCoを利用した少額投資から始め、経験を積むことが大切です。
- 証券会社でNISA口座を開設する
- 毎月余裕のある資金で、少額から積立投資を開始する
- 長期的な目標を設定し、定期的に進捗を確認する
このように、もうからない賃上げを待つのではなく、資産収入を目的とした投資を始めることで、今後の経済的な自由を手に入れる一助となるでしょう。
自ら資産を形成することで、将来的に不安定な要素にも対処できる耐性を意識的に高めていくことが重要です。
まとめ
インフレ時代において、賃上げを待つだけでは財産を守るのが難しいと感じている方が多いかと思います。
その不安を解消するためには、投資による資産形成が効果的です。
この記事では、なぜ投資が賃金上昇よりも資産形成に有益かを示し、特に日本人の低い投資参入率に関しても問題提起しています。
- 賃金上昇を待つだけでは資産が目減りしやすい理由
- 投資の優位性を示すデータと、GPIFの運用実績
- 長期・分散・積立の具体策
賃上げに頼るのではなく、自身の資産を積極的に守り育てることで、未来の生活をより豊かなものにしていきましょう。