株式投資で本当に大切なのは、目先の利回りの高さではなく、“その配当が将来も続くかどうか”を見極める力です。
この記事では、減配リスクを避けるための5つの具体的な基準を解説し、その基準で厳選した業績と利回りが優れている日本株5銘柄を紹介します。
この記事で紹介する「5つの基準」を使えば、表面的な数字に惑わされず、本当に配当を出し続ける力のある企業をご自身で見分けられるようになります。
- 減配リスクを避けるための5つの見極め方
- 基準で厳選した日本株5選
- NISAで実践する分散投資と最適な買い時
利回りだけで選ばない 減配リスクを避けるための5つの着眼点
減配リスクを回避するための株式投資において、単に利回りの高さだけに注目することは危険です。
高利回りの背景には、業績悪化や財務の問題が潜んでいる場合があるため、企業の本質的な力を評価することが重要です。
配当性向をはじめ、企業の利益やキャッシュフロー、財務体質など、総合的に企業を評価する視点を持ちましょう。
企業の利益から見る「配当性向」の目安
配当性向とは、企業が利益の中からどれほどの部分を配当に充てるかを示す指標です。
一般的に、この割合が高いと、企業が無理をしている可能性があり、目安は30%〜50%が水準とされています。
特に連続増配を続ける企業は、この水準を厳守しています。
現金創出力で判断する「フリーキャッシュフロー」
フリーキャッシュフロー(FCF)とは、企業が事業活動から生み出す現金の余剰分を指します。
配当はこの現金から支払われるため、安定したFCFがある企業は配当を続ける力が強いと言えます。
通常、FCF当たりの配当性向が70%以下であれば、現金創出力に余裕があると考えられます。
不況への耐性を示す「財務体質の健全度」
企業の財務体質は、不況期における耐性を判断する材料になります。
借入金の少なさや自己資本の充実などが財務体質の健全さを表します。
特にネットD/EBITDAレシオが重要な指標で、この割合が低いほど財務は健全とされます。
不況時にも安定した配当を維持するには、強固な財務基盤が欠かせません。
過去の実績が語る「収益の安定性」
収益の安定性は、過去の業績記録によって確認できます。
特に景気敏感業種以外では、業績の安定性を重視します。
連続増配している企業は、基本的に安定した収益をあげていると言え、減配のリスクも低い傾向にあります。
経営陣の姿勢がわかる「株主還元方針」
株主還元方針を具体的に示す企業は、株主への意識が高く、配当の持続性にも期待が持てます。
高い配当性向の目標を掲げたり、自己株買いを積極的に行ったりする企業は、株主を大切にする姿勢がはっきりしています。
これが企業の信頼性を高め、株式投資の魅力につながります。
これらの基準に基づく企業判断により、減配リスクを最小限に抑えながら、安定した投資を行うことができます。
5つの基準で厳選した銘柄5選
株式投資で安定した収入を目指すためには、企業の「配当を出し続ける力」を見極めることが最も重要です。
ここでは、そのための「5つの判断基準」を基に厳選した日本株を紹介します。
まずは、注目銘柄の強みとリスクが一目でわかる比較表を通じて、各銘柄の特徴を把握しましょう。
注目銘柄の強みとリスクが一目でわかる比較表
※数値は、9月8日時点。
コード | 銘柄名 | 当利回り | 株価 |
---|---|---|---|
7278 | エクセディ | 5.4% | 5,490円 |
6070 | キャリアリンク | 4.9% | 2,400円 |
7084 | Smile-HD | 3.8% | 2,370円 |
2737 | トーメンデバイス | 4.0% | 6,340円 |
7458 | 第一興商 | 3.8% | 1,722円 |
これにより、各銘柄の配当持続力やリスク要因を理解し、投資判断の材料としてください。
次に、それぞれの銘柄について詳しく見ていきます。
自動車部品の安定供給 エクセディ(7278)
エクセディは自動車部品メーカーであり、特にクラッチやトランスミッションの供給で業界内で重要な地位を占めています。
自動車業界の動向に左右されるものの、高い配当利回りと安定した配当方針が魅力的です。
減配のリスクとしては、自動車業界の景気変動や技術革新の進展がありますが、エクセディの強固な事業基盤と財務の健全性が支えとなっています。
人材サービスの成長性 キャリアリンク(6070)
キャリアリンクは人材サービス業として、派遣やアウトソーシング事業を展開しています。
労働市場の変動には注意が必要ですが、キャリアリンクは柔軟な事業運営と高い成長性を有しているため、安定した配当を継続しています。
教育・保育の安定収益 Smile-HD(7084)
Smile-HDは、保育・学童運営を中核とする保育・教育サービスの会社です。
東京都心部を中心に認可保育所や学童を展開。
自治体委託の比率が高くストック性のある収益が特長。リスクは人件費上昇や人材確保、自治体制度変更への感応度など。
半導体商社のトーメンデバイス(2737)
トーメンデバイスは半導体製品の販売を主軸とし、成長が期待される半導体業界において高い競争力を有しています。
半導体サイクルの変動がリスクではありますが、積極的な株主還元策により、4%以上の配当が実現しています。
アフターコロナで回復期待の第一興商(7458)
第一興商は業務用カラオケ機器を展開する企業であり、コロナ禍からの需要回復が期待されます。
レジャー産業特有のリスクを抱えるものの、スタビリティーの高い収益基盤により安定した配当を実現しています。
これらの企業は、配当を維持する力があり、安定した配当収入を期待できます。
ただし、新たに投資する際は、最新の業績報告や財務情報を確認してからの判断をお勧めします。
NISAを活用したポートフォリオの作り方と最適な買い時
高配当株をNISAで有効活用するためには、「分散」と「タイミング」という2つのポイントを意識することが重要です。
セクターを意識した分散投資の設計図
セクターとは、同じ業種や分野に分類される企業グループのことを指します。
ポートフォリオを組む際には、同じセクターに偏らず、異なるセクターの株を組み合わせて投資することが大切です。
自動車、人材、不動産、半導体、サービス業など、異なるセクターを意識して投資することで、特定の業界の不調が資産全体に与える影響を和らげることができます。
セクター | 例 |
---|---|
自動車 | エクセディ |
人材 | キャリアリンク |
教育 | Smile-HD |
半導体 | トーメンデバイス |
サービス | 第一興商 |
こうした分散により、投資の安定性を高めることができます。
リスクを抑える時間分散という考え方
時間分散は、リスク管理の基本となる投資戦略です。
一度に大きな金額を投資するのではなく、定期的に少額を積み立てることで、市場の変動に左右されにくくなります。
毎月一定額を積み立てる定額積立投資を活用し、NISAの成長投資枠などで時間分散を行うことで、リスクを分散することができます。
また、決算発表後や配当権利日の直前など、株価が動くタイミングを狙って分割して購入することも有効です。
具体的な購入タイミングの見極め
ここで重要なのは、購入のタイミングを見極めることです。
市場の動きを見ながら、割安になったときに購入するのが理想的ですが、タイミングを計るのは難しいという人も多いでしょう。
その場合、「ドルコスト平均法」という、一定の金額を定期的に投資する方法をお勧めします。
この方法なら、価格の変動による影響が平準化され、長期的に購入価格が平均化されます。
新NISAの非課税メリットと知っておくべき注意点
新しいNISA制度では、非課税での投資が可能となるため、特に高配当株への投資を考える人にとってメリットがあります。
NISA口座で得た配当金は非課税になるため、税金の心配をせずに配当を受け取ることができます。
しかし、注意点として、NISA口座での損失は他の課税口座の利益と相殺できない点があります。
これを頭に入れておくことで、NISAをより効果的に活用することができます。
高配当株を選ぶ際には、「続く配当」を重視し、ポートフォリオを慎重に設計することが成功の鍵です。
NISAを活用し、長期的な資産形成を目指してみてください。
安定した配当収入を築くための投資戦略と落とし穴
安定した配当収入を得るためには、投資戦略が重要です。
特に、日本株の高配当銘柄への投資においては、短期的な高利回りだけでなく、長期視点での配当の持続性を見極めることが鍵となります。
高すぎる利回りに潜む危険信号
高すぎる利回りは、しばしば業績不振や財務状況の悪化を示している可能性があります。
例えば、利回りが10%を超える場合、それは投資家にとってリターンよりもリスクのほうが高い状況であることが多いです。
短期的な利回りを追求すると、減配や予想以上の株価下落に繋がることがあります。
そのため、利回りが高すぎる銘柄は一度立ち止まり、その背景にある要因を丁寧に分析することが求められます。
特別配当や記念配当に惑わされないための視点
特別配当や記念配当は、一時的な利益で行われることが多く、安定した配当とは言えません。
これらの配当は単なる一時的なものに過ぎず、次年度以降の継続が保証されているわけではありません。
そのため、こうした配当を魅力的に感じた場合でも、企業の基本的な配当方針や長期的な利益安定性をしっかりと確認することが大切です。
定期的なポートフォリオの見直しと点検の重要性
安定した配当収入を得るためには、定期的にポートフォリオを見直し、適切な調整を行うことが求められます。
具体的には、各銘柄の業績や市場環境を定期的にチェックし、配当の見込みが薄い銘柄や、リスクが高まった銘柄については、早期に対策を講じることが重要です。
また、投資対象の業種や地域の分散も見直すことで、リスクを分散しつつ安定した配当収入を継続的に享受できるポートフォリオを築き上げることができます。
まとめ
この記事では、おすすめの銘柄を5つ紹介し、減配リスクを避けるための「5つの基準」を詳しく解説しました。
持続的な配当を見極める力が重要です。
- 減配リスクを避けるための5つの基準
- 基準に基づいて厳選した日本株5選
- NISAを活用した分散投資と買い時の考え方
これを基にしっかりと銘柄を選んでいきましょう。
NISAを活用して、安定した配当収入を目指しましょう。