利回り3.5%のNTTは買い?AI・ネットの将来性

知識・情報まとめ

NTTは、安定した配当と成長性を兼ね備えた魅力的な銘柄です。現在の配当利回りは3.5%を超え、14期連続の増配を達成しています。さらに、AI技術の進化やデータセンター需要の拡大を追い風に、新たな成長フェーズへと進んでいます。次世代通信技術「IOWN」の実用化が進むことで、通信インフラの革新が期待されます。本記事では、NTTの配当政策や成長戦略、投資判断のポイントについて解説します。

利回り3.5%!NTTの安定した配当の魅力

NTT(9432)の株価は2025年2月19日時点で147円となっており、配当利回りは3.53%と市場平均を上回る水準を維持しています。長期的に安定した株主還元を続けており、初めての株式投資としても魅力的な銘柄といえるでしょう。

14期連続増配の実績

NTTは14期連続で増配を実施しており、株主還元に積極的な姿勢を示しています。2024年度の予想配当は1株当たり5.2円となっており、2003年と比較すると配当額は10倍に増加しています
この長期的な増配実績は、安定したキャッシュフローと利益成長があるからこそ可能となっています。特に、配当収入を重視する投資家にとって、長期保有の大きな魅力となるでしょう。

NTTの事業セグメントと収益構造

NTTの事業は大きく5つのセグメントに分かれています。

・総合ICT事業(ドコモ、NTTコミュニケーションズなど)
・地域通信事業(NTT東日本・西日本)
・グローバル・ソリューション事業(NTTデータ)
・不動産事業(NTTアーバンソリューションズ)
・エネルギー事業(NTTアノードエナジー)

NTTドコモの金融部門は好調で収益を伸ばしていますが、個人向け通信事業では販促費用の増加により利益が減少しています。また、地域通信事業では、固定電話の需要減少が影響し、NTT東西の収益は前年同期比で低下しています。

一方、グローバル・ソリューション事業や不動産事業は安定した利益基盤となっており、財務の健全性を支えています。特に、NTTデータは法人向けサービスの拡大を進めており、今後の成長の柱として期待されています。

AI市場の拡大とデータセンター需要の高まり

AI技術の急速な発展に伴い、データ処理能力の向上が求められています。特に、生成AIや機械学習を活用したアプリケーションの普及により、大規模なデータ演算が可能なインフラの需要が急増しています。その中核を担うのがデータセンターです

総務省の「令和6年版情報通信白書」によると、生成AIの市場規模は2027年までに1,210億ドルに達する見込みであり、これは現在のノートPC市場とほぼ同等の規模になります。AIの計算負荷が増大することで、クラウドサービスやデータセンターの必要性がさらに高まることは明白です。

さらに、国内では5GやIoTの普及により、企業や自治体のデジタルトランスフォーメーション(DX)が進み、データセンターの需要が加速しています。データセンターは単なるサーバー設置施設ではなく、クラウド、AI、ビッグデータ解析を支える重要なインフラとして、経済活動全体に影響を及ぼす存在となっています。

関連情報については、「日本株で注目!データセンター関連銘柄の今後の展望」で詳しく解説されているため、ぜひ参考にしてください。

NTTのデータセンター事業の強み

NTTは、世界のデータセンター市場において第3位のシェアを誇り、国内外で強固なネットワーク基盤を持つ企業の一つです。特に、NTTコミュニケーションズの「NTT Global Data Centers」は、アジア・北米・ヨーロッパなど世界各国で事業を展開し、大規模なデータ処理ニーズに対応しています。

1. 大規模な投資による事業拡大

NTTは今後5年間で1.5兆円以上をデータセンター関連事業に投資する計画を発表しており、施設の拡張や最新技術の導入を積極的に進めています。この資金は、新規データセンターの建設や、AI向けのハイスペックサーバー設備の導入に活用される予定です。

また、「IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)」の実用化により、データセンターの通信速度が飛躍的に向上する可能性がある点もNTTの強みの一つです。従来の電気通信に比べて圧倒的な低遅延・低消費電力を実現する光通信技術が、AI時代に最適なインフラとなることが期待されています。

2. 企業向けクラウドサービスの強化

NTTは、データセンター事業と連携し、「Smart Data Platform」を通じて企業向けクラウドサービスを提供しています。このプラットフォームでは、安全性・拡張性に優れたハイブリッドクラウド環境を構築し、企業のDX推進をサポートしています。

特に、金融機関や医療機関といった厳格なセキュリティ要件が求められる業界向けに、高信頼性のデータセンターサービスを提供できる点が、NTTの大きな強みとなっています。

3. 再生可能エネルギーの活用

データセンターは膨大な電力を消費するため、環境負荷の低減が大きな課題となっています。NTTは、自社のデータセンター運営において再生可能エネルギーの活用を推進しており、CO2排出量削減を目指しています。

NTTアノードエナジーを通じて、太陽光・風力発電による電力供給を強化し、データセンターのグリーンエネルギー化を進めています。これにより、環境配慮型のデータセンター運営を実現し、国際的なESG投資の流れにも対応しています。

次世代通信技術「IOWN」の実用化

AIの発展とともに、通信インフラにはより高速で低消費電力な技術が求められています。その解決策の一つとして、NTTが主導する次世代ネットワーク技術「IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)」の実用化が進められています

IOWNとは?

IOWNは、ネットワークの電気信号を光信号に置き換えることで、データ通信の高速化と省電力化を実現する革新的な技術です。NTTは、ソニーやマイクロソフトなどと連携し、国際的な技術開発プロジェクトとしてこの技術の実装を進めています

IOWNの実用化段階

IOWNは、4つのフェーズで開発が進められています。現在、第一段階である「IOWN 1.0」がすでに実用化され、データセンター間通信の最適化が進められています。
例えば、日本と台湾のデータセンター間をIOWN技術で接続し、低遅延かつ高速な通信を実現する実証実験が行われました。この技術が本格的に普及すれば、遠隔地のデータセンターを連携させ、一つの巨大なデータセンターのように活用できる可能性があります。

この技術革新は、まるで東京、大阪、名古屋の三大都市をリニア新幹線でつなぎ、移動時間を劇的に短縮するような変革をもたらすでしょう。

IOWNの4つのフェーズ

フェーズ1:IOWN 1.0(データセンター間通信の最適化)
既存のデータセンター間通信を電気信号から光信号に置き換え、超低遅延・省電力化を実現。
日本と台湾のデータセンターを光通信で接続する実証実験が進行中。
すでに実用化が開始されている段階。

フェーズ2:IOWN 2.0(ネットワーク全体への適用)
データセンター内だけでなく、通信ネットワーク全体に光技術を導入。
5G・6Gと連携し、スマートシティや自動運転などの分野で活用される。
2025年ごろの実用化を目指している。

フェーズ3:IOWN 3.0(エッジデバイスとの統合)
エッジデバイス(スマートフォン、IoT機器など)にもIOWN技術を適用し、クラウドとエッジの連携を強化。
AI処理の分散化により、端末側でも超高速なデータ処理が可能に。
2030年ごろの実用化を目指している。

フェーズ4:IOWN 4.0(完全な光通信ネットワークの実現)
通信のすべてを光信号で処理する、次世代インフラの完成形。
電力消費を従来比で100分の1に抑えつつ、通信速度は100倍以上に向上。
2040年ごろの社会実装を目標にしている。

NTT株は買いか?総合評価

NTTの現在の株価は割安水準にあり、配当利回り3.5%という点で魅力的です。さらに、データセンター事業やIOWN技術といった成長分野への積極的な投資が進んでおり、将来的な株価上昇の可能性も十分にあります。

投資判断のポイント

NTTは、安定した配当と成長性を兼ね備えた魅力的な銘柄ですが、投資判断をする際には以下のポイントを押さえておくことが重要です。

1. 配当利回り3.5%の魅力

NTTの配当利回りは3.5%以上と、市場平均を上回る水準です。さらに、14期連続増配を続けており、株主還元に積極的な姿勢を示しています。配当収入を重視する長期投資家にとって、魅力的な選択肢といえるでしょう。

2. 安定した事業基盤

NTTは、日本国内最大級の通信インフラを持ち、携帯通信(NTTドコモ)、固定通信(NTT東西)、法人向けITサービス(NTTデータ)など、多様な収益源を確保しています。景気の影響を受けにくく、安定した収益が見込める点は大きな強みです

3. データセンター市場の成長を追い風に

AI技術の発展やクラウド需要の拡大により、データセンター市場は今後も成長が期待されています。NTTは世界第3位のデータセンター事業者として、今後5年間で1.5兆円以上を投資し、事業拡大を進めています。この成長分野への積極的な投資が、将来的な収益拡大につながる可能性があります。

4. IOWN技術による競争優位性

次世代通信技術「IOWN」の実用化により、データ通信の高速化・低消費電力化が進むことで、NTTのサービス品質が向上し、競争力が高まると期待されています。これにより、国内外の法人向け通信・データセンター事業の成長が加速する可能性があります。

5. 海外展開の課題とリスク

NTTは国内市場では圧倒的なシェアを持っていますが、海外市場では競争が激しく、成長の鍵を握るグローバル展開には課題もあります。海外の通信インフラ投資のリスクや、競合企業との競争状況を慎重に見極めることが必要です

6. 長期的な成長を見据えた投資戦略が重要

NTTは短期的な値動きよりも、安定した配当収入と将来的な成長を狙う長期投資向きの銘柄といえます。特に、データセンター事業やIOWN技術の進化が収益にどのように反映されるかを注視しながら、長期目線での投資判断を行うことが重要です。

まとめ

NTTは、配当利回り3.5%という高い株主還元を提供しつつ、AIやデータセンター事業の成長によって収益基盤を拡大しています。IOWN技術の進化が進めば、通信インフラの革新が加速し、さらなる企業価値向上が期待されます。
安定性と成長性を兼ね備えたNTTは、長期投資に適した銘柄といえるでしょう。

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